著者:中野 香織
出版社:日本実業出版社
発売日:2020-1-18
アパレル業界の悪しき慣習と、コロナにより変わっていくであろう今後の展望が書かれた
記事はとてもわかりやすく、初めて知ることが書かれていて興味深かったです。
「ファッションの知識」にとどまらず、「新しいモノの見方」や「誰もが感じる不安への向き合い方のヒント」も得られました。
具体的には
- ファッションの変化と時代の変化の関連性を知りたい人
- 「代り映えのない今日」が「どんなワクワクが発見できる今日だろう?」に
変わってほしい人 - なかなか勇気が出ずに次の一歩に進めない人
におすすめの内容です。
どんな本?
タイトルの「イノベーター」は次の意味で使われています。
心躍るファッション/アパレルの歴史を作り上げてきたキーパーソン
巻頭にファッション年表があり、その次の「はじめに」ではファッション業界の
簡単な用語説明があるので、ファッション関係の知識がなくても大丈夫!
本編では、大きなテーマが8個に分けられ、
テーマごとに複数のイノベーターについて書かれています。
イノベーター1人につき、6ページ程にまとめられているのですが、
その解説がとてもわかりやすくて、ぐんぐん話に引き込まれました。
その人の生涯に触れつつ、ブランドができたきっかけや背景、ブランドの
コンセプトなどがギュッと濃縮されて書かれています。
だから「次はどんな話だろう?」と飽きることなく最後までワクワクしながら
読めました。
読んだ感想
どのイノベーターにもドラマがあり、
著者のコメントに、 泣ける! 泣かされる!!
私は朝の通勤電車や昼休みに読みましたが、涙をこらえるのが大変でした。
じつはこの本を初めて読んだのは、2020年11月です。
それでもいまだに毎日のように思うこと。
ジョルジオ・アルマーニの話のところで、
「ネイビー」という色をアルマーニが最も好む理由である。
ネイビーブルーは、人との正しい距離感を作ってくれる色だ、とアルマーニは語るのだ。
拒絶せず、オープンで、しかし、なれなれしくなるほどには近づかない。紳士的態度を保つことができる色、それがネイビーブルーであると。
これを読んで、ネイビーに対する見方がガラッと変わりました。
私もネイビーは好きで、ネイビーのワンピースは何着も持っています。
だけどネイビーってなんだか中途半端な気がしていて・・・。
黒だったら何色とでも合わせやすいけど、ネイビーって組み合わせの色が限られてしまって
使いにくいな~、でも好きだしな~、みたいなどっちつかずで「好きだー!」て叫びきれない
ような気持ちでした。
だけどこのアルマーニの話を読んで、
急にネイビーが、“親しみがありつつも高貴な色”に感じました。
好きでいいんだ、という太鼓判をもらったような気持ちです。
最後の方は読み終えるのが寂しくて寂しくて・・・
巻末を読みことで、この本を書くためにどれだけ苦労されたのかがわかり、
あらためてこの本を執筆してもらえて良かったな~、と思いました。
(注:著者は大変さを押し付けるような書き方はされていません)
この本に出会い、毎日読む楽しみがあったことや、ファッションの知識や歴史を
知ることができたのはもちろんですが、なにより
この本を読んで私の一生の財産になったと思うこと!それは
歴史を学ぶって楽しい!
と思えたことです。
私の浅はかさがバレてしまいますが、
今まで “歴史を学ぶ” ということがあまり重要に思えませんでした。
「今に生きているのに、昔のことを知ってどうなるの?」ぐらいに思っていました。
だけどこの本を読んで
歴史を知ることは、人生が豊かになることなんだ!
と気づいたんです。
今、当たり前のように身の回りにあるものには始まりがあるということ。
当たり前のように存在するものにも、意味があり、信念が込められているということ。
生み出した人は、「はじめて」を創り出し、さまざまな抵抗がありつつも、
揺るぎない信念を貫き通し、諦めなかったこと。
多くの人が関わり、今日まで歴史が紡がれてきたということ。
目の前の”当たり前”の背景に思いをはせると、
突然目に映るものすべてが特別なものに感じてきます。
そしてこの感覚は今まで興味を抱かなかったものへの好奇心となり、
当たり前の日常が宝探しのように思えてきて、
ワクワクしっぱなしです!
この本のおかげで、大好きなファッションのことを知ることができた上に、
歴史を知る意義を見出せたので、人生がより楽しく感じるようになりました!
まとめ
ファッションがテーマの本ではありますが、
イノベーター1人ひとりは「ひとつのことを成し遂げた人」であり、
人々の生活を変えてしまうほどの影響力をもっています。
そのため、ファッションに興味がない方でも感じるものが多いはず!
あと一歩踏み出す勇気が出ない人の背中を押してくれる一冊になるのではないかと思いました。